はじめまして、ウチムラ7と申します。川崎在住、50代(♂)のサラリーマンです。このブログでは、私が偏愛する「#推しレンズ」たちを紹介していきます。スタートは、私の原点レンズCarl Zeiss のSonnar 38mm f2.8です。
人生初のカメラ、CONTAX T2
私がまだアップル日本支社で働いていた25年前(四半世紀前!)のこと、むらむらっとカメラが欲しくなり、当時京セラがだしていた高級コンパクトカメラCONTAX T2を衝動買いしました。人生で初めて、自分でお金をだして買ったカメラです。チタンボディってところにも、惚れました。

ちなみに、アップルが1994年に発売した最初のデジタルカメラQuickTake 100の定価は11万円台。CONTAX T2の定価が12万円です。価格は同等でも、QT100の画質(640×480ピクセル!)ではお話にならず、私が自分のモノとして買ったカメラはT2でした。
1990年にアップルコンピュータジャパン社に新卒入社した私は、ちょうど5年目のサバティカル休暇を迎えて、ベトナムへの1ヶ月間の単身旅行を計画・実行。買ったばかりのT2で、初めて旅行写真の撮影にチャレンジしたのが、今回ご紹介する写真です。



レンズ偏愛歴の原点、Carl Zeiss のSonnar 38mm f2.8 T*
このベトナム旅行をキッカケに、アナログ〜デジタル時代を通じて、写真を撮るのが趣味となり、とりわけCarl Zeissをはじめとするレンズたちを偏愛してきました。
今年の正月に妻の京都の実家に帰省した際に、私が90年代にCONTAX T2, G1, G2を使って、富士フィルムのベルビア・プロビアで撮った、旅行写真のポジフィルムが見つかりました。
その後、川崎の自宅にフィルムを持ち帰り、機材をレンタル等で揃え、自分でデジタイズしてみました(その作業自体も楽しかったので別途ブログに書きます)。
とりわけ、ホーチミンのチョロン市場や、メコンデルタのカントー市場で撮った写真が、アジアの熱気を伝えていてお気に入りです。いくつか載せてみます。この時以来、旅に出ると必ず土地の市場に行くようになりました。







正直自分でも、こんなに鮮やかに、当時そこにあった熱気や空気感まで撮れていたことにビックリしました。写真を撮るのが好きになった時の感動、記憶の底にあった情景や色彩・・。
改めて自分の原点は、このCONTAX T2についていたレンズ、Carl Zeiss Sonnar 38mm f2.8(ツァイス ゾナー2.8/38)が描く人物や風景、色や光なんだなあ、と実感した次第です。
ツァイスの魅力① コッテリな色艶感
このゾナー2.8/38をはじめとして、私がCarl Zeiss=ツァイスのレンズに魅了されるのはなぜか? 自分なりに考えて、分析したところ、3点あると思います。
まずは良く言われる事ですが、コッテリ濃厚な色乗りです。見たまま、ありのままの色というより、記憶に残っている、まるで油絵のような色合い。
例えば、1995のベトナム写真でいうなら、この子供達の服の色や奥の戸の空色は、本物はここまで色が乗っていなかったかも。このブログに掲載している写真全て、Photoshopで彩度やコントラストを上げたりは一切していない、JPEG取って出しです。

このメコン川の渡し船の乗客の服や船や空の青は、本当はここまで鮮やかじゃなかったかも。

下の紙芝居の絵も、ここまで濃い目の色づかいじゃなかったかも


ツァイスの魅力② キレふわな立体感
ピントが合っているところの解像感のキレ味と、そこから溶けるように、ふわりとぼけていく様。キレとぼけの合わせ技による、絶妙な立体感。というフレーズは、どんな高級レンズにもあてはまるものではあります。が、ツァイスレンズには、目に飛び込んでくる独自の立体感があると、私は感じています。
再び、1995年のベトナムの市場の写真を使って、解説を試みます。

一番手前にある、パパイヤの断面(オレンジの果肉、黒い種)とCamというラベルの瓶にピントがきています。その先にいるミキサーでジュースをつくる女性、さらに奥で荷物を持つ男性は、徐々にアウトフォーカスして、ぼけています。
さすがにf値が2.8なので、ぼけ幅は小さくさりげないのですが、パパイヤとCamがぱっと目に入ってくる立体感が、私は好きです。何気ない情景を、写真アートにしてくれる感じ。

天井を見上げる赤ちゃんにピントがきていて、ソフトではあるけど解像感も十分で、右手で抱える女性の姿とあわせて、目に飛び込んできます。奥の市場の様子も、少なめのぼけながらも、じんわり伝わってきます。

ツァイスの魅力③ ブランドの魔法
同じドイツ発でいえば、メルセデス(ベンツ)、ポルシェ、BMWなどの高級自動車ブランド。磁器のマイセン、万年筆のモンブラン、そしてカメラ・レンズではライカ。
ブランドには、歴史と独自の哲学があって、その会社が作りだすプロダクトそのものを持つこと、使うことに魅了されることってあります。ともあれ、ブランドものを身近においたり、使ったりして、良い気分になって「魔法にかかる」ことは、バブル世代は結構肯定的だったりします。
たまたま、私が最初に買ったカメラについていたレンズ(製造は京セラですが)がツァイスだったのですが、ツァイスは上記の①×②×③のかけ算により、次第に自分に特別な気分をもたらせてくれました。
それは何か? それは「アーティストになった気分」です。ええい、いっそのこと「写真家」と自称しちゃおうか、なーんて(笑)。例えば、メコン川のボートに乗りながら撮った、以下のなにげない川辺の風景も、なんだかアートっぽく見えませんか?





以上は、1995年から今日に至るまで、ツァイスレンズに魅せられた私の勝手な妄想(戯言)なので、ご笑覧いただければ幸いです。
ツァイスの魅力については、今後このブログの中で、最新のデジタルカメラ用のレンズや90年代よりもっと過去のオールドレンズなどを取り上げて、私が実際に撮影した写真を載せながら、順番に語っていこうと思います。もちろんツァイス以外にも、個性的で魅力的なレンズは沢山ありますので、取り上げていきますね。
では、また。